子どもと哲学って関係ある?と思いますか?
幼少期、「親子の会話」は非常に重要ではないでしょうか。本書はそのきっかけになると思います。本書は5歳から上の子どもたちに哲学の手ほどきをする本ですが、現役の小学校教諭と大学の哲学教授の共同執筆によるもので、実践的かつ学術的です。子どもの思考力、集中力、そして議論する力を育むことが期待できます。
子どもたちに哲学を教える必要性があるかないか。その点もそれぞれの親に委ねられるところではあると思いますが、子どもに哲学を教える作業の第一歩は、まず子どもに哲学的な議論をするチャンスを与え、その議論に集中させることだと思います。
本書のプランに従えば、親と子、先生と子どもたちが一緒に哲学を楽しむことができると感じました。
本書を使えば以下の力が自然に身につきます。
①批判的な論理的思考(理由付け、反論や判例の判定、原則を発見し差別化する能力)
②創造思考力(独自の考えを生み出し、議論を通してそれを発展させる能力)
③集中力(集中を持続させる能力)
④聴く力(他の人が話している時に、邪魔することなく注意深く耳を傾ける能力)
⑤コミュニケーション能力(自分の考えを言葉にして、明確に他者に伝える能力)
⑥社交性(他者の考えに敬意を払い、許容する能力)
本書には哲学的な問答例が数多く収録されています。ですので、本書があればすぐに子どもたちと決められたテーマに沿って話し始めることができます。まず、哲学的質問とはどういった質問でしょうか。
それは、「私たちはどのように生きるべきか」「何が正しくて、何が間違っているか」「何かが実際にあるかどうかは、どうしてわかるか」といった本質的な質問です。このような質問には、科学的な質問や普段の生活で生じる多くの疑問と違い、定まった答えはありません。
僕も本書を読んでみて、問答の後に”明確な答え”がないことに最初は驚きました。やはり日本人は明確な答えを求めがちなんでしょうかね。最後は自分で答えを決めなければいけない。このプロセスが”哲学的思考”を鍛えるのだと思います。
ぜひお子さんを育てていらっしゃる方、学校の先生方、本書を活用してみてはいかがでしょうか。