「エミール、幸福にならなければならないよ」
この言葉が非常に印象的でした。物語の終盤で家庭教師がエミールに対して言う言葉です。
みなさんは誰のために生きていますか。自分のため、それとも誰かのため?ルソーの考えを聞いてみましょう。
目次
①「自然」は教育の原点である。
ルソーは教育の3つの根幹として、3つの教育が必要だと説明しています
- 「自然の教育」
- 「人間の教育」
- 「事物の教育」
それぞれ具体的に何をしなければいけないのかは本書を見ていただければと思いますが、「自然の教育」の歩みに沿うのが教育の基本であると述べています。幼い時から急いで多くの知識を無理やり詰め込もうとする「促進栽培」はナンセンスということになります。(実際、そういう子って将来やりたいことがわからない、自分の好きなことがわからないって場合が多い印象が・・・。一概には言えませんけど、その子の「want」が失われちゃう場合も多いのかも。)
②人間を通して社会を、社会を通して人間を研究しなければならない。
抽象的でイメージが掴みづらい言葉かと思いますが考えてみましょう。言い換えると、「人間を知ることと社会を知ることはつながっている」と考えることもできるでしょう。
ルソーは社会の中に存在する不平等についても知らなければいけないと述べています。それを教えるためには出来るだけ遠いところにいる人間を見せてやることだと主張しています。
つまり、別の時代や他の場所にいる人間、歴史上の人物を通して人や社会の心を見せようとするのです。だからこそ、エミールでは「歴史の教育」が重要視されているんです。深いですよねえ。
③他者理解の進展によって自己理解が刷新される。
「自分の軸」を持って生きる時、人は初めて自由だといえる。そんなルソーの考え方には、現代を生きる私たちへの強い問いかけがあります。「自分の軸」って何なんでしょう、どうやったら手に入るのでしょうか。
個人的な意見にすぎませんが、主体的に行動し(イニシアティブをとり)、経験を積んだ先に得られるんじゃないかと思います。そのためには自助努力も必要ですが、社会に生きている以上、他者との交流も不可欠だと思います。
互いの意見と思いを受けとめ合える場所ができると、新しい”発見”が起こります。「えー、君はそんなこと思っていたんだ!」「僕はこう思うけど、そうしたら悲しむ人も出てくるんだなあ」というように。
つまり、他者を理解することは、自己を理解していると言っても過言ではありませんよね。
いかがでしたか。子育てされている方、教育に携わっている方にとっては必読本のように感じます。