1日1冊レビューし太郎

おススメの本ご紹介します。本の紹介を通して、自分の人生観や経験などをお話しします。日本の大学を卒業後、ALLEX Programに参加するために渡米。Missouri州のWashington大学、NY州のUnion大学、そしてHarvard大学で日本語教員として働きました。このブログでは、おススメの本の紹介を通して、自分の人生観や経験を語りたいです。あなたの悩みを解決させてください!いつでも相談に乗ります(^O^)

Momo (100分de名著)

Momo。以前から気になっていた児童文学作品です。

100分de名著 ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 | NHK出版

Amazonではまだ販売されていませんでした)

 

目次

 

①人に何かを話すということ

観光ガイドのジジという登場人物がいます。彼は”みんなに語る話”と、”主人公のモモにだけ聞かせる話”があります。モモだけに話す物語は素晴らしいものであることが原作を読めばわかるのですが、ポイントは”話すことの意味”にあります。

 

話というものは一人で待っていても話にはなりません。必ず誰かに語られる必要があります。何十年も経ってから犯罪を告白する人がいるように、自分の中にある話は人に語らないと自分にとっての真実にならないのです。

 

誰かに語って共有されることによって、初めてそれは本当のこと、真実になるということです。

 

では、それは誰でもいいからとにかく語ればいいのでしょうか。答えはNOです。物語の後半でジジは、モモのために残しておいた話を全部人に話してしまいます。この行為はある意味で、魂を売る行為でした。二人を特別な関係にしていた「二人だけのもの」を自ら捨ててしまったからです。

 

筆者はこう語ります。

今の世の中を考えてみると、多くの人が魂を売っていることになるかもしれません。ツイッターに何かをつぶやき、ブログを書いて、インスタグラムに写真を上げる。とにかく不特定多数に向けて自分の話をし続けていて、モモとジジのような「二人だけのもの」と呼べるような話がなくなっているように思えます。

心底から同感しました。僕もこうやってブログを書いたり、インスタストーリーで近況報告したりしていますが、一歩間違えばそれは”魂を売る行為”になってしまいます。上記の考えを把握したうえで、「二人だけのもの」を大切にしていきたいなあ。

 

「真実は共有されないと意味がない」響きました。

 

②遊べなくなった子どもたち

子どもといえば「遊ぶ」、遊ぶといえば「子ども」みたいなところがありますが、「遊べなくなった子どもたち」とは何なんでしょうか。実はこれは現代的な問題でもあるんです。

 

みなさんのお子さんは”遊ぶ”ことができていますか?筆者は「遊べない子ども」と出会う機会が増えているそうです。ゲームなどその目的に特化したおもちゃが増えたため、想像力を使って自由に遊ぶことが難しくなってきているという予想があります。

 

そして、これは遊びに限った話ではありません。物事があらかじめ決められている場合、人間の想像力は失われていきます。想像力を育てるのは自由の時間であるはずなのに、私たちは”自由だ~幸せだ~”と思える時間がほとんどないと考えてるのではないでしょうか。

 

それに、わからないことはインターネットで調べればすぐに答えが出る。一見「素敵やん」と思われるかと思いますが、自分なりに妄想やイマジネーションを広げることもしないでいいのでしょうか。このような現代のありように対して、本書の遊べない子どもたちの場面は問題を投げかけています。

 

③「みずから」と「おのずから」の結節点

「自然(じねん)」という概念があります。自然の「自」には、「みずから」と「おのずから」という二つの意味があります。

 

「みずから」は主体的な意志を表し、「おのずから」は物事が勝手にそうなることを意味しています。自然とは、その二つが合致する時のことなんです。「みずから」ばかりだと空回りし、「おのずから」を待っていると何も起こらない。

 

その両方が合致する時こそが自然であり、本書に出てくる「星の時間」なのでしょう。自助努力と物事のタイミングを見極める嗅覚の両方が大事ですよね。

 

『Momo』のようなファンタジーや児童文学に分類されるものに対して、みなさんはどのようにお考えですか。「大人がファンタジーを読むことの意味」について考えてみましょう。

 

「勝手なことをいくらでも書けるし、現実から遊離している」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、”ファンタジーがリアリティを見せてくれる”という考え方もあります。日々の仕事に追われて慌ただしい大人にこそファンタジーを読んでほしいなと思うわけです。『モモ』おすすめですよ。